目に見えず、多くの人を困らせる虫のひとつが、ノミです。特に、犬や猫などのペットが被害にあってしまうので、どうにかしたいものですよね。掃除機だけでは対処できないノミを、どのようにして退治すればよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そもそもノミはどのような生物で、どこからやってくるのでしょうか。また、退治するにはどうすればよいのでしょうか。
ご自宅で飼っているペットが被害にあわないためにも、ノミの退治方法を知っておきましょう。また、ノミの発生を予防するにはどうすればよいのか確認しておくことで、飼っているペットをノミの被害から守ることができるでしょう。
目次
ノミの生態
ノミを退治するために、まずはノミがどのような生態なのかを知っておくことが大切です。そもそも、ノミはどのような生物なのか、またその種類はどのようなものがあるのか、さらに潜みやすい場所も、知識として知っておくとよいでしょう。
最も気になるのが、ノミにはどのような害があるのかということです。ペットがノミの被害にあってしまうと、どのようなことがあるのでしょうか。虫が苦手な方も、被害にあう前に知っておくと、いざというときに役に立ちますよ。
ノミの特徴
ノミはどのような特徴がある生物なのでしょうか。
● 分類
ノミは、節足動物門昆虫綱ノミ目に分類される、外部寄生型の昆虫です。外部寄生型というのは、他の生物に付着し、その生物から栄養を吸収して生きる生物のことを指します。寄生された生物は、感染症に侵されるリスクも生じます。
● 体長
ノミの体長は、わずか1mmから、大きいものでも9mm程度しかありません。そのため、かろうじて肉眼で虫だと判別がつくくらいだといいます。オスよりもメスのほうが、体長が大きいのも特徴です。
● 繁殖力
ノミの繁殖力は非常に高く、寄生してからわずか2日で産卵し始めます。それが、ノミが住み着いた後の厄介な原因にもなります。ノミの一生は3ヶ月と短いですが、1回の産卵でおおよそ50個の卵を生むため、ノミが付着してしまうと、増え続けてしまうのです。
● 好物
ノミは生物の体に付着し、その生物の血液を吸って生きていきます。そのため、動物や人の血液が好物です。血液を吸う生物としては、蚊が挙げられますが、蚊はメスだけが吸血する一方、ノミはオスもメスもともに吸血します。
● その他の特徴
ノミは羽を持たないため、空を飛ぶことはありませんが、そのぶん高い脚力をもっている生物です。ミリ単位の大きさの生物ですが、その身体の100倍程度の高さまで跳躍できるといいます。また、体内に寄生虫がいるのもノミの特徴であるといえます。
ノミのおもな種類
ノミの中にもさまざまな種類がありますが、主な種類は、以下の3つです。
● イヌノミ
イヌノミは世界各地に分布していますが、熱帯地域には多くない種類のノミです。近年では日本でもあまり見られなくなってきたようです。イヌノミは、体長2mmから3mm程度で、犬や猫、きつねなどの体に付着します。
一般的な他のノミより寿命が長く、他のノミの寿命が3ヶ月ほどというのに対して、イヌノミは条件がよければ300日から500日ほど生きるともいわれています。
● ネコノミ
ネコノミは日本にも多く見られ、主に猫に寄生する種類ですが、人間にもうつる、ノミの中でも恐ろしい種類でもあります。体長はイヌノミと同様に2mmから3mm程度で、メスのネコノミは、一生をかけて1匹で1,000個以上の卵を産むという高い繁殖力をもっています。
もともとは猫に寄生することからこの名前がつきましたが、猫だけでなく人間や犬、鳥にまで寄生するため、多く見かけられる種類です。
● ヒトノミ
ヒトノミは主に亜熱帯地域の気候を好むため、日本では現在見られることはほぼありません。これも同じく、ヒトだけに寄生するわけではなく、哺乳類全般、また鳥にも寄生する種類です。
このように、ノミの種類はさまざまであっても、寄生先の生物は幅広いというのが事実です。また、ノミのさなぎは粘着力が強く、さらに体にゴミを付着させて身を隠すため、寄生したときに見つけるのが難しいとされています。
ノミはどこからやってくる? ーおもな発生原因ー
多くの方がノミに関して疑問に思っていることのひとつとして、「ノミはどこからやってくるのか」ということが挙げられます。
ノミがやってくる理由は、主にこの2つが考えられます。
● 飼っている動物が持ち運ぶ
飼っている生物が外出中、草むらや野生の動物とのふれあいの中でノミを拾ってきてしまうケースが考えられます。ノミは1度付着し、そのまま気づかないと、2日で卵を生んでしまい、ノミの数が増えてしまうのです。
● 野生動物が持ち運ぶ
野生動物がノミを体にもっていて、そこから飼っている動物へうつることも珍しくありません。また、野生動物がご自宅の庭に出入りしている際に、ご自宅のベッドやタオルなどに付着してしまうケースも考えられます。
ノミが潜みやすい場所はどこなのか
それでは、ノミはどのような場所に潜むのでしょうか。その場所は、先にも述べたように動物の体や、庭の日陰や湿気があるところが挙げられます。
動物の体には、ペットが草むらに入ったり、すでに寄生しているペットや野生動物と接触したりしたことで拾ってきてしまいます。体毛が多いため隠れやすく、好物である血液があるため、動物の体は絶好の潜む場所なのです。
また、ご自宅に庭がある場合、日陰の部分やジメジメしやすい部分はノミが潜みやすい場所です。ペットがご自宅の庭からノミを拾ってきてしまうこともあります。
ノミが及ぼす害
ノミに刺されてしまうと、どのような被害があるのでしょうか。ノミとダニはよく一緒の部類だとされますが、ノミはダニほど危険ではありません。しかし、刺されるとひどいかゆみを感じ、場合によっては刺された部分が水ぶくれになってしまうこともあるようです。
先にも述べたように、ノミは犬や猫などのペットに寄生しやすい生物です。ペットに寄生し、ペットが刺されてしまうと、人間同様ひどいかゆみを感じる皮膚炎になってしまったり、ノミの体内にいる寄生虫が原因となり下痢を引き起こしてしまったりもします。
また、ペットに大量にノミが寄生してしまうと、たくさん血を吸われて貧血を起こしてしまうケースもあります。ペットにとってかゆみは、大きなストレスにもなります。このように、ペットに寄生することで、さまざまな被害が考えられるのです。
【駆除】ノミを退治!徹底対策をする方法
ここまで、ノミの生態や、ノミが及ぼす影響などを見てきました。そのノミは、どのようにしたら、退治することができるのでしょうか。ダニほどの甚大な被害はもたらさないにしても、実は退治が難しいのは、ダニよりもノミなのです。
そんなノミを退治するにはどうすればよいのか、見ていきましょう。ノミは退治が難しいため、正しい方法で駆除を行わないと、なかなか効果が出にくいとされています。
厄介なノミだからこそ、退治の方法を知って適切に対処しましょう。
方法1:くん煙剤を使用して駆除する
ノミ退治方法の1つ目は、くん煙剤を使用した駆除です。くん煙剤は、それをまくだけで部屋全体に殺虫成分を行き渡らせることができます。そのため、ノミの発生場所を特定せずとも、発生源と思われる部屋にまくだけでよいのです。
そんなくん煙剤ですが、駆除する際にはさまざまな注意が必要です。使用する前に、食品や電化製品などにはカバーを被せるか、しまっておく必要があります。食品は食べられなくなってしまいますし、電化製品も壊れてしまうリスクが高いためです。
また、くん煙剤はペットには使えません。くん煙剤を使用するときは、必ずペットも人も違う部屋に移動し、くん煙剤をまいている部屋にはいないようにしましょう。
衣類にもカバーをかけましょう。くん煙剤が付着した衣類で肌が荒れる可能性や、また服の素材によっては変色などが起こりうるからです。
ノミの生息場所として、ふとんも挙げられますが、くん煙剤はふとんには使えません。あくまでも、部屋全体に潜んでいるノミの駆除に使いましょう。
方法2:ノミの発生源を特定して駆除する
2つ目の方法は、ノミの発生源を特定して駆除する方法です。ノミの発生源が分かっている場合は、繁殖を止めるためにもその発生源のノミを駆除する必要があります。
特に、その発生源がペットである場合、ペットのためにもいち早く対処してあげましょう。ペットのノミの対処法として、ノミ取り用のブラシや、ノミの殺虫成分が入ったシャンプーなど、その手段はさまざまです。
方法3:ノミ捕獲トラップで捕まえてみる
また、ノミ捕獲トラップも有効な方法です。ノミは、光と温度を感知して集まる習性があります。そのノミの習性をうまく利用したものが、このノミ捕獲トラップです。
その方法は、水に洗剤を混ぜたものをコップや洗面器などにいれます。それを、夜間に暗い場所の床に置き、そのコップや洗面器を照らすようにライトで照らすことで、ノミが集まるのです。
これは人体やペットに害はなく、比較的簡単にできるので、おすすめですが、一度に駆除してしまいたいという方にはくん煙剤などのほうがおすすめできます。
また、設置したノミ捕獲トラップの水を、ペットが飲んでしまわないように注意が必要です。
駆除時に気をつけるべきポイント
駆除するときに気を付けるべきポイントもしっかりとおさえておきましょう。
まず1つ目は、掃除機だけでは対処しきれないということです。これが、ノミが発生してしまったときの最も厄介な問題かもしれません。掃除機だけで対処しようとせず、先ほど紹介した方法も一緒に使ってみるとよいでしょう。
2つ目は、ペットがいるご家庭でノミが発生した際、ペットのノミの駆除と部屋のノミの駆除のどちらもおこなう必要があります。どちらかにノミが残ったままだと、せっかくの駆除も意味がなくなってしまいます。
3つ目は、ノミを見つけたときに潰さないことです。見つけたノミがメスであった場合、潰すと体内にあった卵が飛び散り、その飛び散った卵から繁殖する可能性があるからです。また、ペットが下痢を起こす原因にもなります。見つけたら潰さず、熱湯処理などで対処しましょう。
【予防】もうノミで被害にあわない…適切な忌避方法
ここまでで、ノミが発生してしまうとどれほど厄介なことになるのか、よくおわかり頂けたのではないでしょうか。そんな厄介なノミに悩まされる前に、ノミ発生の原因を取り除いてしまいましょう。
日頃からノミ発生の原因を断っておくことで、人もペットも安心して暮らすことができるのです。日常での対策をしっかりおこないましょう。
換気・清潔感の維持でノミが住みにくい室内環境を目指す
最も手軽な対処法として挙げられるのが、換気や使っているベッドやふとん、収納場所を清潔に保つことです。換気はノミが好む適度な温度や湿度を逃し、ノミが住みにくい環境を作ることができます。ノミの温床となる環境を作らないことが大切です。
換気と同時に、ベッドやふとんは定期的に干すように心がけましょう。ベッドやふとんにはカバーを取り付けることで、奥深くにノミが卵を生んでしまうのを防ぐことができます。また、カバーは定期的に洗濯できるので、清潔な状態を保ちやすくなります。
ベッドやふとんにノミを付着させないためには、定期的に天気がいい日を狙って干し、向きを変えてみるのも有効な方法です。
押し入れや棚、クローゼットなどの収納場所の清掃も大切です。ノミは、人間のフケなどあらゆるものをえさとして生活しています。そのため、ふとん自体をキレイにしていても、ふとんをしまう押し入れに汚れが溜まってしまっていてはあまり意味がないのです。
忌避・駆除グッズを利用してみる
現在、ノミの退治だけでなく、ノミの発生を防ぐグッズも多く店頭に並んでいます。その中でも、ノミがペットに多く寄生してしまうため、ハーブなどでできた優しい成分のものが多く見られます。
ペットや小さなお子さんがいる家庭では、このような人体やペットに配慮された忌避剤を選ぶとよいでしょう。換気や天日干しもおこないながら、週に1度ほど予防グッズを使ってみると、ノミが住みにくい環境を保つことができます。
家具などを変えてみる
ノミがどこから発生しているのか特定できない場合や、何度駆除してもなかなか退治しきれないときは、コストはかかってしまうものの、家具を変えてみることをおすすめします。
いち早く家具を変えることで、被害を断つことができるかもしれません。あまりにも長い間ノミの被害に悩まされている方は、家具を変えてみてください。
また、和室があるご家庭で、畳にノミが繁殖してしまった場合、完全に駆除するのは難しいとされています。そのため、こちらも費用がかかってしまいますが、畳を交換してしまうのが最善の方法といえるでしょう。
業者に依頼して予防をしてもらう
ご自身での駆除に困ったときや、やり方がわからない場合、また小さなお子様がいらっしゃるため心配がある場合には、業者に頼んで予防してもらうのが一番です。業者はノミの退治に関して知識を持っているため、確実に駆除してもらえ、さらに予防までしてもらえます。
長い間ノミに悩まされている方や、ノミがあっという間にたくさん発生してしまったという方には、特におすすめです。やり方がよくわからないという方は、業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
● ノミ退治には根気が必要
● 生態や種類を理解することが非常に役に立つ
● くん煙剤や発生源の特定、捕獲のトラップが駆除には非常に有効
● 換気や清掃、忌避剤の利用や駆除グッズを上手に使えば対策は可能
予防する方法もさまざまです。グッズを使うのもよいですが、まずは日頃からおこなうことができる換気や、天日干し、収納場所の清掃から始めましょう。
ノミはかなり厄介な生物です。ご自身の手に負えないと思ったら、早いうちに業者に依頼し、徹底的に駆除してもらいましょう。ご家族もペットも、よりよい環境で生活するためにも、ノミが発生しない環境づくりに努めましょう。